防湿層無し高性能グラスウール。
たわみが少なく自立性があり、
施工性が良く繊維の一本一本に撥水処理を施してあり、
施工時の不快感が軽減された断熱材です。
本日はこの通称『裸のグラスウール』についてお話ししたいと思います。
1.グラスウールとは
2.袋入りと裸の違い
3.今までの弊社の施工と改善案
グラスウールはガラスを原料としています。
原料の85パーセントがリサイクルガラスを使用しています。
不燃・耐久・安全・防蟻等の性能のバランスが良く、コストパフォーマンスが高い為、住宅用断熱材として広く利用されています。
高性能グラスウールは繊維が細く通常よりも繊維本数が4倍になり、断熱性能がアップします。
また、繊維の一本一本に撥水処理をした撥水グラスウールは水を弾きやすくなります。
但し、正しい施工が難しいので施工不良によって、
断熱性が落ちたり壁の中でずり落ちたり良くないイメージが持たれています。
施工不良事例 H18断熱改修(他社施工物件を改修)
外壁外部を撤去すると施工不良により、グラスウールのずり落ちを発見し撮影しました。
外部よりグラスウール撤去し、
厚さ100mmのロックウールを隙間なく施工、柱への留め付けも入念に行いました。
グラスウールには袋入りのものと裸のグラスウールがあり、
福井県等、比較的温暖な地域で一般的に使われているのは袋入りのグラスウールです。
北海道などの寒い地域では裸のグラスウールが使われるケースが多いそうです。
一般的には、袋入りの方が価格が安くなります。
袋代分高くなるはずなのにどうしてでしょうか?
メーカーに問い合わせると流通量の差と施工時の不快感を無くすための加工費との事でした。
袋の中のグラスウールはガラス繊維で皮膚が痒くなったり痛くなったりするので職人さんから不評です。
裸のタイプは繊維飛散量少なく、施工時の不快感が軽減されているようです。
袋はビニールになっており室内側と室外側で違いが有ります。
ビニールには耳といわれる部分があり、これを柱の表に留め付ける事で、
袋のビニールが気密層となる仕組みになっています。
ホッチキスのようなタッカーを用いて留めつけます。
筋交等があり隙間が出来そうな場所は一旦袋から出して施工後、
ビニールを被せる必要があります。
自立性のある裸のクラスウールは剛性と反発力が高く、
グラスウール繊維と木の摩擦力が高いので、
タッカーなどで留め付ける必要がありません。
グラスウールが壁の中でずり落ちるのが弱点と言われてきましたが、
その心配はなさそうです。
しっかりした繊維の塊で切断等の加工もしやすいので、
細かい場所の隙間を少なくする施工に適しています。
袋の気密では十分な気密施工は出来ません。
一つの部材に役割を二つ与えることは、リスクが増えます。
断熱は断熱材に、気密は気密部材にそれぞれ仕事をさせる必要があります。
弊社では今まで、袋入りのロックウールをタッカー等で木部に留め付け、
気密シートやテープ、コーキング等で隙間が出来ないように気密施工してきました。
これで室内側は問題ないのですが、外壁側の壁内部に一部隙間が出来てしまいます。
間仕切り壁に吸音の為、ロックウールを入れたものを裏から見ると、
袋で丸まった部分に少しですが隙間が確認できます。
裸のグラスウールでは壁内部にピッタリ断熱材が施工しやすいので、体感出来るほどでは無いとしても断熱性能は向上すると思われます。
ずり落ちにくい特性も長期間断熱性能を維持するのに適していると思われます。
先日、職人さんに集まってもらい、現場で講習会を開きました。
今後、サーモカメラ等で温度ムラの検証を行い、推奨化していく予定です。