地球温暖化による気温上昇に伴って、熱中症患者の救急搬送は年々増加しています。
悪化すると命の危険もある熱中症。決して楽観視してはいけません。
建設業界では高温多湿な状況が多いため熱中症のリスクが高いのが現状です。
今回は、夏場の現場での熱中症対策をご紹介したいと思います。
気温の高い環境で体温が上がり、体内の水分と塩分のバランスが崩れ、
体温調節が機能が働かなくなりめまいや痙攣、頭痛や吐き気などさまざまな症状を引き起こす病気。
手遅れになると命にかかわる病態で、近年熱中症による救急搬送人員は毎年数万人を超え、
死亡者数は5年移動平均で1,000人を超える高い水準で推移しています。
2023年(令和5年)で職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の人数は1,106人。
そのうち31人が亡くなっています。
業種別の熱中症の死傷者数では、建設業が圧倒的に多く発生しています。
【過酷な環境】
空調の無い室内や炎天下、照り返しが強い地面近くでの作業など、
高温多湿になりやすい環境が発症を高める要因となっています。
【体への負担が多い作業】
重たい物を持ったり高所での作業で大量の汗をかくことにより、体内の水分と塩分のバランスが崩れ、
体温調節が出来なくなると熱がこもり熱中症を引き起こします。
【熱中症による転落事故】
高温、高所での長時間の作業で体力を消耗し疲労が蓄積、
さらに熱中症が原因で墜落・転落災害が起こる可能性が高く、2次災害の恐れがあります。
環境省は2024年4月24日から「熱中症特別警戒アラート」の運用を開始しました。
これは、気温が著しく高くなり熱中症による健康に係る重大な被害が生じる恐れのある場合に発表される情報です。
具体的には、都道府県内すべての観測地点において、翌日の最高暑さ指数(WBGT)が35に達する場合に発表されます。
WBGT・・・気温・湿度・日射量などを考慮して数値化した暑さの指数で、熱中症を予防する際の目安となります。
注意点
熱中症特別警戒アラートは、都道府県内のすべての観測地点において暑さ指数が35を超えた場合にのみ発表されます。
1か所でも35未満の場所があると発表されないので注意です。
特別アラートが発表されていなくても自分の住んでいる地域が暑さ指数35以上の時は警戒が必要です。
14時台を中心に死亡者が増加、17時台に再び増加しています。
帰宅してから体調が急変・悪化したというケースもあります。
暑さ指数(WBGT)が28を超えた時点で熱中症が増加していることが分かっています。
弊社での熱中症対策をご紹介いたします。
従来型ヘルメットは内部が発泡スチロールで覆わていて熱がこもってムレやすい状態でした。
新しくなったヘルメットは発泡スチロールが無くなりヘルメット内部に空間が生まれ通気性が格段に上がりました。
また重量も大幅にダウンし首への負担も軽減されました。
墜落時保護・飛来落下物等の国家検定合格品のため、性能はそのままに通気性アップと軽量化を実現しました。
新築の現場(2階)にエアコンを設置しました。
天井がつくまでは断熱が無いため冷たい風が逃げてしましますが、それでも大分涼しくなります。
エアコンからの排水は1時間でバケツいっぱいになるそうです。
まだまだ暑い日が続くので、大工さんや中での作業が少しでも快適にできるようになればと思います。
太陽の動きに合わせて時間帯で作業する面を変えるというやり方もあります。
朝→西面
昼→北面
夕→東面 など
腰や脇部分に小さなファンが付いている作業服です。
服内や首に風があたり体を冷やして体温や発汗量を一定にしてくれるので体力の消耗も防ぎます。
最近はベストタイプも出ているので軽量化で作業効率も上がります。
真夏日や猛暑日など暑い日には、1時間ごとに休憩をいれるなど、こまめな休息を取ります。
水分や塩分の補給も積極的に行います。
朝は健康状態であっても気温があがることによって作業途中に熱中症を発症するかもしれません。
定期的に見回りをし、体調に変化などないか確認します。
1人で作業することも多い大工さん、積極的に声をかけたり顔色を見たりなど夏場は特に注意が必要です。
工程表作成時に、真夏の気温を考慮し期間に少し余裕をもたせる配慮をしています。
アスベスト調査・工事などは専用マスクの着用をしての作業になるため、なるべく真夏を避けるなど考慮します。
過酷な暑さとなる真夏の現場は熱中症対策が欠かせません。
こまめな休憩や水分・塩分補給はもちろんですが、作業現場での快適性など環境を整備することも重要です。
「暑さで大変なこともあるけど、納期を遅らせないよう頑張るよ!!」と大工さん話してくれました。