都心の狭小地を中心に「軒ゼロ住宅」の採用が広がっています。
瑕疵保障会社の調査などから、軒ゼロ箇所は雨漏り事故が非常に高いことが分かってきました。
見た目は恰好よくても施工の難易度が高く、維持管理費もかかる。
それでも採用するなら周到な準備が不可欠です。
1.防水上弱点となりやすい場所
まず、防水上弱点となりやすい場所ですが、
- 1.軒ゼロ住宅の屋根と外壁の取り合い部
軒の出が小さいと屋根端部と壁面端部が接近し、屋根端部の隙間から入った雨水は壁面背面に回りやすい。
- 2.壁面雨掛かり周辺の開口部
軒の出が小さいと雨掛かりの面積が広がる為、開口部周りの施工不良から雨水が侵入しやすい。
- 3.片流れ屋根の頂部、ケラバ部
特に片流れ屋根の頂部の棟包みの水切り形状や外壁との取り合い部の、防水対策が不十分なケースが多い。
熟練の職人減が関係しているのではないか? - 4.外壁に直接、紫外線の当たる場所の維持管理増
軒ゼロ住宅の壁面では紫外線を受ける時間が長く、外壁材やシーリング材の早期劣化を招きやすい。
長い庇は雨水対策だけでなく、紫外線を減らし、塗装やシーリング゙材の耐用年数を伸ばします。
2.採用するなら周到な準備を
それでも採用する場合、まずは設計者や施工者が、リスクをきちんと認識するべきです。
設計ディテールや防水材料の選定で特段の配慮が必要となり、通常より建築コストと
維持管理費が増大することを、建て主様へ正しく伝える事が必要です。
その上で自社の施工ルールを定め徹底することが、ポイントです。
- 1.軒の出等が150ミリ以下の場合、屋根ルーフィングで軒先を包み外壁防水紙の上に重ね、不連続部を無くす
- 2.防雨効果のある通期金物を用いて、適切な位置に設置する
- 3.片流れ頂部については、有効板の使用を禁止する
- 4.輸入サッシの使用には注意が必要
- 5.その他、当社防水基準(別冊)順守 ※当社防水基準は事務所にてご確認いただけます