本日は住宅の気密化の目的についてお話したいと思います。
住宅の気密化とは、わかりやすく言えば、
家の中と外との隙間を出来るだけ少なくしましょうという事です。
気密化すると家の中が息苦しくなるのではないか?
木が呼吸しなくなって家の寿命が短くなるんじゃないか?
という主張をされる方もいますが思い違いです。
①省エネ性能の向上
②耐久性能の向上
③換気性能の向上
となります。
穴の開いたコップには水が貯まらないのと同様に、
家の隙間が大きいと冬に温めた空気は外に漏れやすくなります。
家の隙間を通るのは空気なので漏れた空気と同じ分が外からの空気が入ってきます。
この家の隙間から出たり入ったりする空気を専門的には漏気と呼び、
これが大切な住まいに色んな悪さをします。
漏気には、温度差によるもの、圧力差によるもの、外に吹く風によるものの3パターンが存在します。
冬の暖かい室内空気は外気より軽いので天井や屋根の隙間から勢いよく外に逃げていき、
反対に冷たい外気は床・壁の隙間から入ろうとします。
部屋の上下で温度差発生して、足元の寒い不快な家となるのです。
上下温度差のある家は室内温度よりも寒く感じるため、悪循環となります。
隙間の少ないC値1.0㎠/㎡以下の気密性高い住宅では、
内外温度差30度で温度差漏気はほとんど発生しなくなります。
断熱施工において、風のコントロールは重要です。
グラスウールなどの繊維系断熱材は内部にある空気を動かさない事により断熱性能を発揮します。
壁の中の空気が漏気により、断熱材内部の空気が動くと性能が発揮できません。
ダウンジャケットの様に断熱材の周りの気密部材が重要です。
断熱性能と同じくらい気密性能は省エネ性能の向上に大きく影響します。
湿気は、冬には家の中に発生し、夏には外気に含まれています。
この湿った空気が漏気により外壁、屋根裏等の内部に侵入して冷やされると、
結露が発生し専門的には壁体内結露と言われています。
壁体内結露が進めば、壁の中や天井裏が水でびしょ濡れになり、
土台・柱・梁等の構造木材が腐ったり、カビが発生したり、耐久性に大きく影響を与えます。
壁の中に入ってしまった湿度を外へ逃がす通気も気密とダブルで検討する必要があります。
この気密・防湿・通気によるの耐久性向上が、最も大切でかもしれません。
漏気の多い住宅では空気の入口が多くなります。換気扇等で排気量を多くしても、
計画した給気からは外気が入らず、8割が隙間風として室内に入ってきます。
換気経路に大きな影響を与え、換気されない部屋が発生し、空気が淀むことになるのです。
計画的で効果的な換気には気密と換気部材のメンテが重要となります。
気密レベルに応じて風や温度差にてどのぐらいの漏気が起きるかは計算されています。
風や温度差による漏気を一定量以下に抑えるためには、
C値0.5㎠/㎡以下が理想的と言われています。