窓には
1.光の取入れ 2.眺め 3.換気 4.通風 5.太陽熱の取込・遮断 6.断熱
等非常に多くの役割が有ります。
窓の種類や大きさ、取付位置等の『窓の設計は』、住宅の設計において重要度の高い項目となります。
窓の話のはじまりとして、断熱性についてご説明したいと思います。
一般的な住宅の冬に逃げていく熱のうちで、窓から逃げる量は1/3と言われています。
理由は明確です。窓の断熱性能が悪いのです。
窓の断熱性能が悪いと結露もしやすくなります。
うっすらとした窓の結露はさほど問題はありませんが、激しい結露が発生すると、
窓廻りの部材を腐らせたり、カビや雑菌の繁殖の原因となりかねません。
日本ではアルミサッシが狂いが少なくて良いとされる時代が長く続いたため、
世界的には珍しくアルミ加工の技術が進み、アルミに一枚ガラスの家が多くなった事が理由であると考えられます。
新築住宅においては壁に10センチ程度の断熱材を入れる事が多くなっていますが、
アルミ一枚ガラスの窓は断熱材に置き換えると1センチ未満の断熱性能しかありません。
まるで、窓の分だけ家に穴が開いたようなイメージです。
逆に言えば、窓の断熱性能を上げることは温熱環境の上では最もコストメリットが高いと言えます。
一般的に窓の断熱性能は熱還流率という数値で表します。
熱還流率は熱の伝わりやすさを表し、値が低い方が性能が高くなります。
代表的な窓とガラスの組み合わせによる性能値は以下の通りです。
窓の仕様 | ガラスの仕様 | 熱還流率 | |
---|---|---|---|
1 | アルミ製 | 単板 | 6.51 |
2 | アルミ製 | 複層 中空層10㎜以上 | 4.07 |
3 | アルミ樹脂複合 | 複層 中空層10㎜以上 | 3.49 |
4 | アルミ樹脂複合 | LOWE複層 中空層12㎜ | 2.33 |
5 | 樹脂製 | LOWE複層 中空層12㎜ ガス封入 | 1.90 |
6 | 樹脂製 | LOWE三層複層 中空層6㎜ ガス封入 | 1.70 |
現在、弊社では温熱指標を計算する外皮計算ではこの数値の入力を行っていますが、
実際のカタログを見ると、
LIXIL製 エルスターS LOWE複層 樹脂スペーサー アルゴンガス封入 1.27
LIXIL製 エルスターX LOWE三層複層 クリプトンガス封入 0.79
YKK製 APW330 LOWE複層 樹脂スペーサー アルゴンガス封入 1.31
YKK製 APW430 LOWE三層複層 アルゴンガス封入 0.90
となっています。
実際は開き方・大きさ等により窓ひとつひとつ性能値が変わるので、このカタログ上の数値が平均値と思われます。
数値だけの比較でも窓の断熱性能の違いが何となく分かりますね。
一般的なアルミペアの窓を樹脂トリプルの窓に交換することで窓からの熱損失は6割削減できるそうです。
YKK社はフォーラム等で樹脂窓のシェアアップにかなり力を入れており、
昨年の新築住宅における樹脂窓の採用率は、5割に近くなっております。
そのため、樹脂LOWEペアの単価はかなり抑えられつつありますが、
樹脂トリプルの単価はまだまだ高いそうです。
弊社では5年前の2015年から原則、新築全棟を樹脂窓採用に一元化することで、
価格をおさえて提供できるようにしました。
実は弊社は福井県でエルスター初出荷の会社となります。
標準的に樹脂窓ペアのエルスターS ご要望により樹脂窓トリプルのエルスターXとしています。
両者の違いはガラスの差だけではなくフレームの多層構造の差でもあります。
現在では、YKK製のAPWシリーズもほぼ同等価格で提供が可能となりました。
特に準防火地域においては、APW330防火窓の採用となります。
今回は窓の断熱性能に絞ってお話ししました。
冒頭にお話ししたように窓の設計は奥深いので、窓の話は引き続き次回も行います。