4月14日建築吉日(たつ) 建て方を行いました。
長期優良住宅で弊社初めての、性能表示制度の耐震等級3の家となります。
今回は、建て方時の流れを詳しくお伝えする為、撮影隊に協力頂きました。
折角の機会ですので、建て方の事前手配や一日の流れを詳しく説明いたします。
建て方の日程は施工の二カ月ほど前から決定する必要があります。
お施主様の予定、吉日の選定、職方・レッカー・建て方部材の手配、近隣への配慮等、事前に行うべき事項が多いからです。
今回は現場が通学路となっており、駐車場や道路使用許可の手配が必要でした。
午前7:30、建て方は朝礼から始めます。
まず、棟梁大工さんにお酒で四方お清めをしてもらい工事の安全を祈願してもらいます。
施主様の紹介の後、施主様に挨拶を頂きます。
職人さんの体をほぐす準備運動を行い、事前に用意した少量のお酒とスルメを口に付けてから作業開始となります。
施主様と棟梁大工さんはこの場で初めてお会いすることになります。
標準的な二階建ての場合、一階部分の柱を建ててから二階床組みを施工します。
外壁の管柱は4寸角(厚120㎜)を標準としています。
これは壁の中に充填する断熱材が施工しやすいようにする為です。
また、外壁側のは筋交も断熱材施工の妨げとなりやすいので出来るだけ少なくして、耐力面材(ダイライトなど)を利用した耐震壁となるようにしています。
通し柱(土台から軒まで継ぎ目のない柱)については、接合部の木材が細くならないように、ドリフトピン接合として外壁管柱と同様の4寸角(厚120㎜)が標準です。
通し柱と管柱を同じ大きさとするメリットは複数あります。
部屋の大きさを確保する為、内壁側管柱については3.5寸角(105㎜)を標準としていますが、建物の形状により調整が必要な部分が発生します。
二階床組みは建物の耐震性上、重要な部位です。
木造の梁の長さ(支点間距離)は原則として二間以下(3640㎜)とすることが望ましいとされています。
梁の大きさ(梁幅・梁せい)は梁にかかる応力やたわみをもとに算出しますが、これを超えると、荷重が一気に増大し、梁の自重(はりそのものの重さ)が大きくなります。
部屋の天井高さの決定には梁の高さが影響しますし、天井懐に納めるはずのダクトや配管が、ぶつかって納まらないということが起こりえますので十分な検討が必要です。
二階床を水平構面として剛性を高める為に二階床の合板は24㎜厚を利用します。
合板を床梁と一体化させるには910㎜の桝目に入れた木下地に合板を釘打ちします。
以前には床の剛性は火打ち材で取っていましたが、剛床と言われる水平構面には必要ありません。
床合板もプレカットされており現場で発生する廃材の少量化・施工手間省力化にもなります。
二階床施工し終わるとすぐに二階柱建てが始まります。
施工後には一階と二階の柱位置が揃っているのが良く分かります。
これを柱の直下率と呼び、上から下への応力が直接的に地面へ流れます。
一般的に、その割合が50%以上となるように計画しています。
二階天井部の梁を小屋梁と呼び、床梁と同じく二間以下(3640㎜)に長さを抑えるようにしています。
梁方向は出来るだけ平行に掛けるようにした方が応力がスムーズに流れます。
実は小屋梁による天井構面(屋根構面)も耐震上重要で合板等による補強が有効になり、今後の課題と考えています。
※現在は鋼製火打ち材による補強となります。
小屋張りの上に束を設置してから、母屋の施工となります。
母屋とは垂木を受けるための小屋組み材料で3尺(910㎜)おきに設置します。
垂木の支点間距離を短くして折れにくくするためです。
垂木の間隔は原則300㎜(屋根材により調整有ります)としていますが、軒先部分については、垂木のハケラ折れ防止の為にコメ垂木を設置します。
したがって、軒先部分の垂木間隔は150㎜となり見た目にも非常に強そうです。
近年、軒先のほとんどない 軒ゼロ住宅 の問題点が指摘されていますが、弊社では軒の深い家を推奨しています。
軒先を深くするメリットとしては、
垂木施工後に屋根合板で屋根塞ぎを行います。
屋根合板12㎜もプレカット加工されたものを利用します。
現状天井上から屋根面までを通気層と考えており、暖かい空気は上昇する性質を利用した。
棟換気を推奨しています。建て方時には未施工です。
棟換気は付いているが屋根合板に換気の穴を開け忘れたといった事例もあるそうですのでご注意下さい。
屋根仕上げが板金の場合、雨音の減少、結露防止のためのエコヘルボードを施工します。
屋根ルーフィングを施工し終われば建て方は完了となります。